仕事中・通勤途中に新型コロナウイルスに感染したら労災?
2019年末に中国・武漢で発生した新型コロナウイルスは、凄まじい感染力で世界に広がり、2020年3月には南極を除くすべての大陸に伝播しました。
日本も例外ではなく、小中学校及び高等学校の一斉休校やテレワーク、イベントの自粛などが取られ、感染拡大を防いでいます。
しかし、社会人の中には出社して普段通りに働かなければならない人も多くいるのです。
そこで気になるのが、仕事中または通勤途中に新型コロナウイルスに感染した場合、労災認定されるか否かでしょう。
この疑問を解決できるように、新型コロナウイルス感染に伴う労災認定の可否と保険給付について説明いたします。
仕事中に新型コロナウイルスに感染した場合
労働者が仕事中にケガをした場合に労災保険給付を受けられるように、病気(疾病)に罹っても労災保険給付を受けられます。
会社員であれば同僚や取引相手などに感染させられることが考えられ、接客業やサービス業であればお客様から感染させられるこが考えられるでしょう。
ただし、仕事中に感染したと労働基準監督署に認められるだけの事実が必要です。
例えば、集団感染や感染ルートで、仕事中に感染したと認められなければなりません。
逆に、自分1人だけが新型コロナウイルスに感染した場合は、仕事中に感染したとは認められにくいでしょう。
もし、仕事中に感染したと認められた場合は、労災保険から療養補償給付を受けられるので治療費負担は0円となり、休業補償給付と休業特別支給金で休業中に給料の約8割(給付基礎日額の8割)をもらえます。
「休業中も給料全額欲しい!」という方は、年次有給休暇を利用すれば給料の全額をもらえます。
年次有給休暇を新型コロナウイルス感染に伴う休業に充てることは、事業主からの申し出は不可ですが、労働者側からの申し出であれば問題ありません。
通勤途中に新型コロナウイルスに感染した場合
車通勤なら問題ありませんが、電車やバスを利用する場合、不特定多数の人が長時間密室で一緒になるため、マスクをしていても不安でしょう。
一番危険を感じるのではないでしょうか?
当然、通勤途中に新型コロナウイルスに感染したら労災になるのか考えるはずです。
労災保険は、労働者が通勤途中に負傷、疾病、障害、死亡等した場合にも保険給付を行います。
したがって、通勤途中に新型コロナウイルスに感染しても保険給付を受けられるはずですが、現実は、簡単には認められません。
ケガした場所を証明・確認することは比較的簡単でも、通勤途中に新型コロナウイルスに感染したことを証明・確認することが困難だからです。
プライベートで感染した可能性もありますよね。
そのため、電車やバスでクラスター(集団感染)が起き、複数の感染者がいなければ、まず労災認定されません。
プライベートで新型コロナウイルスに感染した場合
私生活で新型コロナウイルスに感染した場合は、会社員や公務員、その扶養家族は健康保険、自営業者や無職者等は国民健康保険の療養の給付を受けられ、一部負担金のみで診察・治療を受けられます。
さらに、会社員や公務員が病気により仕事を休むと、健康保険の傷病手当金の対象となり、標準報酬日額の3分の2が支給されます。
国民健康保険の加入者には、基本的に傷病手当金はありません。
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