民事損害賠償との調整
2016年02月27日他の制度との調整
労働災害の発生について、事業主に民事損害賠償の責任がある場合、民事損害賠償と労災保険給付の間で、次のように調整されます。
どちらの請求も認めてしまうと、労働者は二重に補填を受け、事業主は労災保険の恩恵を受けることができなくなってしまうために調整されるのです。
労災保険給付が先に行われた場合
すでに支給された労災保険分を民事損害賠償額から控除することが、判例法として確立されています。
つまり、本来事業主が支払うべき民事損害賠償額の一部を労災保険が支払ったと考えることができるのです。
民事損害賠償が先に行われた場合
保険給付の受給権者が、同一の事由について事業主から民事損害賠償を受けたときは、政府は、労働政策審議会を経て厚生労働大臣の定める基準により、その価額の限度で、保険給付を行わないことができます。
調整される民事損害賠償は以下の通りです。
逸失利益の支給を受けた場合
障害(補償)給付、遺族(補償)給付、傷病(補償)年金、休業(補償)給付を調整
障害(補償)給付、遺族(補償)給付、傷病(補償)年金、休業(補償)給付を調整
療養費の支給を受けた場合
療養(補償)給付を調整
療養(補償)給付を調整
葬祭費用の支給を受けた場合
葬祭料(葬祭給付)を調整
葬祭料(葬祭給付)を調整
介護損害の支給を受けた場合
介護(補償)給付を調整
介護(補償)給付を調整
なお、示談金、和解金、見舞金、慰謝料等を受け取っても、基本的に労災保険給付の支給調整は行われません。