労災保険(労働者災害補償保険)の保険給付とその仕組みをわかりやすく解説いたします。もしもの業務災害・通勤災害にご活用ください。
よくわかる労災保険
HOME » 労災保険の基礎知識 » 通勤災害の認定

通勤災害の認定


通勤災害とは、労働者が通勤によって負傷、疾病、障害または死亡することを言います。

また、通勤による疾病は労働者災害補償保険法施行規則18条の4で定められているものに限られており、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」とされています。

度々、裁判になるほど通勤災害か否かの判断は難しいため、労災保険によって、以下のように通勤の定義、逸脱・中断について定められています。

通勤の定義

通勤とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くとされています。

私的な行動をするとプライベートとみなされ通勤ではなくなり、業務の性質があると仕事中として業務災害の対象となります。

通勤と認められる可能性がある移動
(1)家と職場の往復
(2)2つ以上の職場で働いている人の職場から職場への移動
(3)単身赴任者の赴任先住居と帰省先住居間の移動

細かい条件がありますが、その条件を満たせば、(2)と(3)についても通勤とみなされます。

逸脱・中断

通勤の途中に経路をそれることを「逸脱」、通勤経路上で通勤とは関係ない行為をすることを「中断」と言います。

この逸脱・中断した場合は、行為をした時からその後ずっと通勤とはみなされなくなります。

しかし、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱・中断の間を除き通勤とみなされます。

つまり、行為中は通勤とみなされませんが、行為後、順路に復帰した時から通勤とみなされるのです。

日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの
・日用品の購入その他これに準ずるもの
・職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校(大学等)
・選挙権の行使その他これに準ずるもの
・病院又は診療所における診察、治療その他これに準ずる行為

なお、通勤経路上の公園での休憩やコンビニでの買い物等、ささいな行為については、逸脱・中断とはみなされず、行為中も含めて通勤となります。


関連記事

仕事中や通勤途中に怪我をしたり、病気になった場合は、労災指定病院等で無料で治療や薬をもらったりできます。 これが療養補償給付という保...


通勤中に交通事故に遭えば、通勤災害として労災保険給付を受けられます。 また、仕事中に外回りしていて交通事故に遭うと、業務災害として労...


業務災害とは、業務上の事由によって労働者が負傷、疾病、障害または死亡することを言います。 しかし、業務であるか否かの判断が難しいため...


ほとんどの会社は労働保険と社会保険の適用事業所となっているため、そこで働く限り本人の意思に関係なく強制加入となり保険料が給料から天引きされ...


労災保険とは、「労働者災害補償保険法」の略で、業務上の事由又は通勤によって労働者が負傷、疾病、障害、死亡等した場合に迅速かつ公正な保護をす...



コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

最新記事

労災認定の基準

行為中は通勤でなくてもその後に元の道に戻った時は通勤とみなされる「日常生活上必...

労災認定の基準

出勤・退社時に行うささいな事は逸脱・中断とはみなされず、通勤として扱われます。...

労災認定の基準

飲食店に立ち寄り、その後の帰宅途中で災害に遭った場合は、その時の立場によって通...

労災認定の基準

単身赴任している場合、相応の理由があれば、赴任先住居と帰省先住所の移動中の傷病...

労災認定の基準

仕事の掛持ちで2つの会社の移動中に災害に遭った場合も、条件を満たせば通勤災害と...

労災保険カテゴリー

社労士試験

サイト情報