健康保険の適用事業所
健康保険は、任意継続被保険者以外、会社や工場など事業所を単位として適用されます。
つまり、その事業所で働く人は、労働時間が極端に短い等の理由で適用除外に該当しない限り、健康保険に加入しなければならないのです。
そして、その事業所の種類には、強制適用事業所、擬制的任意適用、任意適用事業所の3つがあります。
以下に、それぞれの事業所の条件について説明していきます。
強制適用事業所
健康保険の強制適用事業所とは、次の(1)か(2)の条件を満たす事業所で、該当すれば当然に加入しなければなりません。
(1)常時5人以上の従業員を使用する個人の事業所で次の事業を行っている
製造業、土木・建築業、鉱業、電気供給業、貨物・旅客運送業、貨物積卸し業、焼却・清掃・とさつ業、販売・配給業、金融・保険業、保管・賃貸業、媒介周旋業、集金・案内・広告業、教育・研究・調査業、医療事業、通信・報道事業、社会福祉事業・更生保護事業(法定16業種)
ただし、次の事業所については、常時5人以上の従業員を使用する個人の事業所でも強制適用事業所にはなりません。
・第一次産業(農業水産業、畜産業)
・サービス業(旅館、料理店、飲食店、理容業)
・士業(弁護士、税理士、社会保険労務士等)
・宗教業(神社、寺、教会等)
(2)国、地方公共団体または法人の事業所で従業員が常時1人以上いる
(1)は常時5人以上の従業員なのに対し、(2)は1人でも従業員がいれば健康保険が適用されます。また、(1)には例外もあるので注意が必要です。
擬制的任意適用
健康保険の強制適用事業所が従業員の減少等で強制適用事業所の条件を満たさなくなった場合でも、加入の認可があったものとみなして健康保険が適用されます。
手続きをする必要はありません。
任意適用事業所
適用事業所以外の事業所でも、健康保険に加入することができます。
また、脱退することもできます。
加入・脱退の条件は次のとおりです。
加入 | 脱退 |
---|---|
・被保険者となるべき者の2分の1以上の同意 ・厚生労働大臣の認可 | ・被保険者の4分の3以上の同意 ・厚生労働大臣の認可 |
健康保険は事業所単位で適用されるため、反対しても加入すれば被保険者となり、反対しても脱退すれば被保険者資格を喪失します。
なお、上記の加入・脱退の条件を満たしても、事業主にはそれに応じる義務はありません。
あくまでも、加入・脱退するための条件であって、「加入・脱退しなければならない」わけではないので注意してください。
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