労災保険(労働者災害補償保険)の保険給付とその仕組みをわかりやすく解説いたします。もしもの業務災害・通勤災害にご活用ください。
よくわかる労災保険
HOME » 労災ニュース » 大阪ホストの急性アルコール中毒が労災認定

大阪ホストの急性アルコール中毒が労災認定


大阪ミナミのホストクラブ『ブラックパール』で働くホストの男性が、2012年8月1日に亡くなった事件について、2019年5月29日、大阪地裁によって、死因の原因である急性アルコール中毒が労災認定されました。

急性アルコール中毒が労災認定された初めての判決です。

男性は、4月にスカウトされて入店したばかりの新人ホストで、2012年8月1日朝6時、ヘルプとして席に着きました。

すると、店内で飲酒コールが叫ばれ、ホストの男性は、アルコール度数40度のテキーラを立て続けに5杯も一気飲みします。

その後、「気分が悪い」と同僚ホストに告げると、嘔吐し、奥のボックス席で倒れたまま眠りにつきました。

そして、朝7時頃に、顔面蒼白で口から泡を吹いている状態で発見され、人工呼吸の甲斐なく、息を引き取ったのです。

責任の所在を明らかにするため、両親が、労災申請、業務上過失致死罪で大阪府警に刑事告訴、損害賠償請求をし、「責任者ら男2人の書類送検」「会社側に約7300万円の損害賠償」という結果になりました。

しかし、労災とは認められません。

大阪中央労働基準監督署の判断に納得できない両親が裁判を起こし、2019年5月29日、大阪地裁の内藤裕之裁判長によって、急性アルコール中毒が労災と認められました。

急性アルコール中毒による労災が続かないように!

今回は、「新人で、同僚ホストによる飲酒の強要を断れない立場だった」「業務と急性アルコール中毒に相当因果関係がある」ことが認められ、労災認定されました。

全国初の判決ということで、今後の判例となるでしょう。

しかし、亡くなった人は帰って来ず、家族の無念は一生消えません。

ホストという職業上、飲酒せざるを得ない立場ではありますが、断る勇気も必要ですし、それでも飲酒を強要されるなら辞めることも真剣に考えましょう。

また、会社も飲酒の強要禁止を徹底させるべきです。

同じような事件が続かないことを願います。


関連記事

いわき労働基準監督署が、福島第一原発で仕事中に亡くなった男性に対して、2018年10月16日に、過労死の労災認定をしていたことが、2018...


2017年12月26日、蛇紋岩の石綿が原因で肺がんになった埼玉県の造園業の男性が、2017年4月に、熊谷労働基準監督署に労災認定されていた...


2018年5月25日、野党が反対する中、働き方改革関連法案が、衆院厚生労働委員会で可決されました。 週明けにも衆議院を通過し、施行さ...


2018年4月6日、高野山の寺院に勤める40代の男性僧侶が、過労によるうつ病により、労災認定されたことが明らかになりました。 以下に...


横浜市のビルメンテナンス会社に勤務する高齢パート女性の業務中の大ケガについて、労災認定されたことが、2018年12月20日に明らかとなりま...



コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

最新記事

労災認定の基準

行為中は通勤でなくてもその後に元の道に戻った時は通勤とみなされる「日常生活上必...

労災認定の基準

出勤・退社時に行うささいな事は逸脱・中断とはみなされず、通勤として扱われます。...

労災認定の基準

飲食店に立ち寄り、その後の帰宅途中で災害に遭った場合は、その時の立場によって通...

労災認定の基準

単身赴任している場合、相応の理由があれば、赴任先住居と帰省先住所の移動中の傷病...

労災認定の基準

仕事の掛持ちで2つの会社の移動中に災害に遭った場合も、条件を満たせば通勤災害と...

労災保険カテゴリー

社労士試験

サイト情報